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2000年度総会報告


2000年度 中国文芸研究会総会議案

(於2000.4.30 白雲荘)

T.1999年度活動報告

*99年度の本研究会の活動は、『野草』『会報』の発行を始め、「例会」「夏期合宿」などにわたって、全般的には従来の水準を維持してきたと言える。
*会員数も271名(2000.4.1現在)と安定的な増加傾向にあり、とりわけ若手層の加入が目立っている。ただし、こうした若手層の力を研究会の活力につなげていく点では、未だ課題を残していると言えよう。
*運営面では、各担当者が自己の責任を果たし順調に研究会活動を展開できた。例会の活性化に向けて、参加者アンケートを行なうなど、幾つかの新たな試みも生まれた。ただし、各種活動の有機的連係を図る点では弱点を克服しきれなかったと言えよう。事務局の役割(運営や体制のあり方など)をめぐる意見交換をいっそう深め、研究会の活性化につなげていく必要がある。
*以下、各事業項目に従って活動状況を紹介する。

(1)『野草』刊行について

*第64号(編集担当:岡田英樹)、第65号(同:藤野真子=副担当:松浦恒雄)は予定期日に出版することができ、第66号(同:青野繁治)も編集作業が進みつつある。印刷担当者(平坂仁志)を始めとする関係者の努力により、順調に刊行できたことを確認しておきたい。なお、フロッピィ入稿・Eメール入稿は完璧に定着した。
*内容面では、幾篇かの力作論文などを掲載することができた。だが、「特集」のあり方と「原稿審査(査読)」のシステム化については、依然として検討を要する課題を残している。
*会員からの積極的投稿が減少傾向にあることや、原稿提出締切が厳守されていないことなどが、編集作業の困難と遅れの一因ともなっている。今後、締切の厳守を徹底し、「原稿審査」の機能とあり方を検討すること、長期的な編集計画を策定すること、そして何よりも会員の地道な研究発表の場として位置づけていくことが課題である。

(2)『会報』発行について

*今泉秀人・平坂仁志・和田知久・好並晶・藤野真子・梁有紀の編集担当者の努力によって、第211号(5月)〜第222号(4月)まで順調に発行した。特に、遠隔地在住者による編集という新たな試みも、コンピュータネットワークを用いた協力体制により、進められた点は特記しておく。
*興味深い内容の連載も開始され、「次号が楽しみだ」という声も寄せられている。しかし、投稿を増やし掲載論稿の内容・レベルの多様化を図り、「交流」欄に数多くの情報を収集し掲載することは、近年来の課題として今後も引き継がなければならない。
*一方、「書評の会」の活動の一端が『会報』紙面に反映され、「例会」記録が毎号掲載されたことなどは、貴重な前進であると言えよう。「書評の会」や「例会」と『会報』の連係を強めると同時に、誰でも気楽に投稿できる、機動性のある研究情報誌としての『会報』のあり方を更に工夫していくことが課題となっている。

(3)「例会」開催について

*年間10回の開催を確保し、毎回コンスタントな参加者を得て安定的に開催しており、発表内容も基本的に高い水準となりつつある。参加者は若手層が増加している一方で、中堅・ベテラン層に若干の減少傾向が見られる。ただし、発言者が限られる状況も存在しており、今後、より多くの参加者からの積極的な発言が期待される。
*『野草』特集関連の報告(地方在住者も含めて)や「書評の会」そのものが「例会」に組み込まれた点、内容に関するアンケートの取り組みなど、担当者(北岡正子・木村知美)の工夫によって、「例会」の活性化に向けた試みが図られた。特に、『野草』第65号においては、編集担当者と例会担当者との連携により、「例会報告→『野草』論文掲載→例会における合評」というサイクルがかなり実現したこと、「合評」(3月例会)には「特集」関連執筆者が全員出席され、活発な論議が行なわれたことは画期的だった。

(4)「夏期合宿」について

*昨年度は、担当者(斎藤敏康・上田なおみ)の企画により、8月28〜30日の3日間にわたって鳥取東伯郡東郷町の東郷温泉「養生館」において開催された。参加者はのべ15人。
*問題意識を共有しつつ興味深い論点を提出している書籍(論文集など)に対する書評と問題提起が主な内容となったが、計6名に及ぶ報告に基づき、活発な議論を行なうことができた。また、若手層を中心とした新たな交流の輪のひろがりと、静かで美しい環境(中国庭園「燕趙園」見学も含む)とによって、参加者にとっては充実した内容となった。

(5)「野草基金特別事業」関係について

*『中国20世紀文学研究ガイド(仮称)』作成へ向けた作業に取り組むことなどを課題としていたが、進展には至らなかった。
*本研究会にふさわしい企画案を引き続き検討していく必要がある。

(6)「野草ネットワーク」について

*事務局の連絡、『野草』『会報』の編集などにとって、コンピュータネットワークは不可欠となっている。今後、フェイス・トゥ・フェイスの場とネットワークの、双方の連係が重要である。
*本研究会「ホームページ」(WWW http://aonoken.osaka-gaidai.ac.jp/~aono2/bungei/bungei.shtml)は、担当者(青野繁治)の努力により、徐々に充実したものになりつつある。
*99年度に念願の「野草メーリングリスト」と「事務局メーリングリスト」が設置された。会員の交流の場として、また実務作業のスムースな進展に向けて、今後の有効な活用のあり方を工夫したい。

U.2000年度活動方針

*2000年度は『野草』刊行30周年を迎える。『野草』『会報』の発行、「例会」「夏期合宿」の開催などにおいて、研究会の全般的活動の水準を引き続き維持し向上させることが課題である。
*そのためには、事務局における意思疎通を図り、責任をより明確にした体制を確立し、各種活動が連係し合える円滑な運営を図ることが必要である。
*その際には、特に、若手層の主体的・積極的な参加と具体的な役割分担が重要となろう。「(例会への)参加」から「(研究会への)参画」へと、どう踏み出していってもらえるか、活動の工夫を続けるとともに、若手層の積極的取り組みにも期待したい。会員自身による「参画」型の研究会活動を目指すことを目標とする。

1.各種研究活動について

(1)『野草』刊行

*会員の研究成果を公表する場として常時機能するように、いっそうの工夫を図ると同時に、従来通り「特集」を軸にした展開も進める。なお、締切厳守の徹底を図ることが、「原稿審査(査読)」、版下作成を含む全ての編集作業を円滑に進める前提条件である点を強調しておく。
*そのためにも、「例会」との連係をよりいっそう重視し、「例会報告→『野草』論文掲載→例会における合評」というサイクルのいっそうの確立を図る。
*「原稿審査(査読)」の方法については、必要に応じて編集委員会を開催するなどして、客観性と公平性を保持できるようにつとめる。なお、査読者名は、原則として公表しない。
*執筆者は「合評」の場に出席することを期待したい。また「例会」に参加できない会員のためにも、「合評」の経過を『野草』誌面に反映していくことを引き続き重視する。
*当面の発行計画は以下の通りである。
 ★第66号──2000年3月末締切、2000年8月1日刊行予定。編集担当:青野繁治
 ★第67号──2000年9月末締切、2001年2月1日刊行予定。編集担当:好並晶(副担当:宇野木洋)
 ★第68号――2001年3月末締切、2001年8月1日刊行予定。編集担当:斎藤敏康

(2)『会報』発行

*和田知久・好並晶・今泉秀人・藤野真子・梁有紀・大塚ゆう美の編集担当体制によって発行する。
*内容の充実・活性化をいっそう図っていくことが課題である。「書評の会」との連係をより強化し、「特約寄稿者」システムの起動を工夫するために、松浦恒雄も加わって投稿依頼や企画のコーディネーターの役割を担う。この間、若干弱まっている「交流」欄を充実させる必要がある。事務局でも工夫を図るが、全国の会員の皆さんも、「野草メーリングリスト」などを活用して研究情報を寄せていただくようお願いしたい。
*「書評の会」の活動なども受けて、「論文時評」「書評」「舞台・映画評」「個人蔵書紹介」といった企画や、「修士論文紹介」欄(若手層の研究テーマ紹介コーナーにもなろう)などの設置を工夫する。また、若手層の執筆による「例会」記録の掲載も引き続き実現していく。
*具体的な内容は以下の通りとする。
 ★担当体制――4・10月号(和田知久)/5・11月号(好並晶)/6・12月号(今泉秀人)/7・1月号(藤野真子)/8・2月号(梁有紀)/9・3月号(大塚ゆう美+今泉秀人)
 ★原稿締切――発行前月の月末
 ★原稿送付先―和田知久/今泉秀人/平坂仁志
 ★原稿は、原則としてフロッピィ入稿にプリントアウトを添付(外字部分を明記)することとし、返却は行なわない。ただし、原稿・写真などの返却を希望する場合は、その旨を申し出て、返信用封筒(切手添付)を同封することとする。なお、Eメールによる入稿も受け付けるが、その際も別便でプリントアウトを郵送すること。

(3)「例会」開催

*「例会」の開催は、例年通り、年10回とする。各月最終日曜=午後1:30開会。ただし7・8月を除く(「夏期合宿」を例会に充当)。また、12月は忘年会を兼ねるため、最終日曜開催とは限らない。
*講演(会員外・他領域・外国人研究者などを含む)・書評を年間各1回程度、適宜行なう。『野草』合評は、討論内容を『野草』誌上に掲載する。『野草』の「特集」テーマに関する報告は、必要に応じて数回組み込むこととする。従って、年間10回程度が個人会員の自由な研究発表の場となる。準備の都合上、研究発表希望者は早目に申し込むことをお願いしたい。コメンテイターについては臨機応変に考える。
*「例会」担当は、北岡正子・木村知実として、報告者の調整と企画を図る。
*具体的スケジュールなどは以下の通りとする。
 ★「例会」カレンダー(現在、決定している報告予定者。なお、単純計算では、通年14回の発表の機会があるが、随時、『野草』の「特集」関連報告、講演・書評などが入る。現在のところ、夏合宿では「特集」関連の企画をも組み込み、10月または11月例会において「『ポスト文革期』の話題作を読む」(仮題)を実施する予定である)

 4月 総 会     @書評の会
 5月 A青野繁治(「作家紀行」のインタビューとビデオ上映)
    B谷行博
 6月 C上原かおり  D金スンオグ
 7-8月 (「夏期合宿」を7・8月例会にあてる)
 9月 『野草』66号合評
10月 E       F
11月 G       H
12月 忘年会     I講演・書評など
 1月 J       K
 2月 L       M
 3月 『野草』67号合評

 ★会場は、偶数月は白雲荘(京都会場=京都市上京区寺町上立売上ル2筋目西入ル Tel 075-231-1320)とし、奇数月は大阪経済大学(大阪会場=大阪市東淀川区大隅2-2-8)とする。ただし、1月例会は、入試の関係で会場変更になる可能性があるのでご注意いただきたい。
 ★発表希望者は、例会担当:北岡正子まで申し込むこと。

(4)「夏期合宿」開催

*集中的な研究交流の場として、今年度も「夏期合宿」を実施する。テーマ・報告者・場所などについては、合宿担当:斎藤敏康・上田なおみ・中澤智恵を中心に具体化を図る。
*現在までに決定している「夏期合宿」スケジュールは以下の通り。
 ★日時:8月下旬〜9月初旬
 ★場所:未定
 ★内容(案):中心テーマは未定。個人発表については希望者募集中。

(5)「書評の会」開催とその役割

*「書評の会」とは、最近読んで刺激を受けた内外の論文・書籍など(中国現代文学プロパーのものに限定しない)を自由に紹介し合って、問題意識を交流することが原点である。こうした自由な批評を定期的に積み重ねることを通じて、その成果を『会報』の編集内容の企画につなげていき、更に『会報』を「例会」にリンケージさせる中で、各種研究活動の活性化を図っていく点に、その目的があった点を再度確認したい。今年度も、引き続き松浦恒雄を責任者として企画・運営を行なう。
*「書評の会」における議論・意見交換の内容そのものの『会報』への反映(例えば、紹介された論文・書籍の「名前一覧プラス一行解説」など)も工夫していく。そのためにも、より広範な参加者が得られる「フランクな研究の広場」的な場として位置づけていかなければならない。若手層を始め、多数の会員の出席と活発な発言を期待したい。
*原則として、毎月の「例会」前の一定の時間を用いて、同一会場にて開催する。なお、場合によっては「例会」自体を「書評の会」とすることもある。

(6)「特別事業」計画

*阪口直樹の担当とし、短期及び長期的計画を作成しつつ、その実施に入る。研究会の事業として、現在のところ、以下のものを予定・検討している。
 @『中国20世紀文学研究ガイド』(仮称)作成
 Aその他
*なお、独立会計扱いとなっている「野草基金」をより有効に活用するためには、如何なる形態があり得るのか、引き続き検討を深める。

(7)「野草ネットワーク」プロジェクト

*コンピュータネットワークを利用した『会報』『野草』の編集の効率化は定着した。コンピュータネットワークは、単に事務の効率化に留まらず、遠隔地との交流や種々の情報提供・発信手段としても、大きな可能性を持っている。それを全ての会員のものとするために、インターネットの普及なども視野に入れつつ、今年度も引き続き実践的に検討を深める。担当は青野繁治とする。
*『野草』掲載論文の検索を始め、本研究会に関する様々な情報を発信している「ホームページ」(WWW http://aonoken.osaka-gaidai.ac.jp/~aono2/bungei/bungei.shtml)を、いっそう豊 かな内容に充実させていく。「野草メーリングリスト」(加入方法は『会報』でお知らせします)を活用した会員間の交流も期待したい。

2.運営体制について

*研究会の運営は、事務局、『野草』編集委員会、「書評の会」及び運営委員会によって行なう。若手層の参加を推進して、再編・強化を図る。

(1)事務局

*事務局は、総会決定に基づき、『会報』編集・「例会」開催・『野草』印刷などの日常的な実務を担当する。事務局担当幹事を中心とした責任体制をより明確にしていく。今年度の幹事は、宇野木洋・松浦恒雄・阪口直樹の3人で担う。 *ほかに、「例会」担当:北岡正子・木村知実、組織・財政担当:絹川浩敏・中澤智恵、『野草』印刷担当:平坂仁志、『会報』編集担当:和田知久・好並晶・今泉秀人・藤野真子・梁有紀・大塚ゆう美、「夏期合宿」担当:斎藤敏康・上田なおみ(・中澤智恵)、「野草ネットワーク」担当:青野繁治、という計17名によって事務局を構成する。

(2)『野草』編集委員会

*『野草』編集委員会は、『野草』の編集・刊行全体に責任を持ち、また「原稿審査(査読)」のあり方などを始め、中長期的な課題について検討を行なう。2000年度は、太田進・北岡正子・是永駿・阪口直樹・岡田英樹・宇野木洋・松浦恆雄・絹川浩敏・今泉秀人と今年度の編集担当である青野繁治・好並晶・斎藤敏康、という12名によって構成する。
*『野草』編集委員会は、必要があれば、参加者を拡大して開催することができる。

(3)運営委員会と会計監査

*運営委員会は、事務局で処理が困難な問題が生じたり、長期的・大局的な観点が必要とされる場合に、運営委員長の責任において開催され、問題の処理にあたる。その構成は、太田進(運営委員長)・筧文生・是永駿・岡田英樹・谷行博及び事務局構成メンバー、という計22名とする。
*財政の健全な執行を図るべく、会計監査:松村昂を置く。

(以上、敬称 略)


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